金環日食の起こる朝が近づいている。
ところで、
この現象については、昔、
主に「金環食」あるいは「金環蝕」と、本などには書かれていなかっただろうか。
できれば、
そちらの方がよい気がする。
光のリング――金環は月食では生じないから、
わざわざ金環「日」食と念を押す必要はないのではなかろうかと感じるからである。
それがなぜいつのまにか、
件の四文字が幅をきかせるようになったのだろうかと
調べてみたところ、
話はどうやら単純らしい。
本来ならばもっとも正しい「蝕」の字が、例の常用外だというのである。
そのため、
「蝕」を食事の「食」に換えると、
それ一文字では、天体の欠けをあらわす意味が散らされてしまう。
(何となれば、実は「蝕」であればこの文字のみをもって天体における現象も包括し得るのである)
そこでいよいよ、金環日食――。
ご苦労な誰かがいつの頃からかくどく説明を加えたものと、筆者はこのたび合点した。
以上で正しいだろうか。
ところでそうなると、
気になってくる言葉がひとつある。
齲蝕(うしょく)が起こる――という場合は、新聞さんなど、
これをどう表記されているのだろうか。
蝕ばかりでなく齲も、常用外だった気がするからである。
どちらも平仮名にして、
うしょく――では、何やら間抜けである。
となれば、
言葉自体を抹殺したうえで、
虫歯――にひとっからげにまとめてしまうという残酷なアイデアしか、筆者には浮かんでこないのだが、
実際どうなっているのだろうか。
以上、
「蝕」という字も、「金環蝕」という言葉も、子供の頃から何となく好きなため、
相手もなくちょっと絡んでみた。


by Schneewitt…
ある午後の沈黙